夢の実現に向けて
比羅夫に住みついた平成7年には、まさか自分がこんなものまで作れるようになるなんて思ってもいませんでした。
前オーナーのログハウス作りを手伝ったり、宿の補修を重ねるうちに、自分の作品を作ってみたい。そういう思いがだんだん強くなってきました。それは木に対する純粋なあこがれと、この宿はこれから自分が作っていくんだという決意の現れでもありました。
平成10年5月、約11年間に渡って頑張ってきた丸太風呂も、近年水漏れが激しくなり、ついに作り替えることにしました。
ただ問題は、直径120cmもある太い丸太が手に入るのかどうか。あったとしても耐水性など、長年の使用に耐えられるのか、ということでした。
森林組合など数件の業者に問い合わせたところ、日本の木では今はもう見つけるのは無理だろうということでした。
そこで苫小牧の輸入業者を紹介してもらい訪ねてみると、製材する前の丸太で結構いいのが見つかりました。
早速2トントラックを借りて苫小牧まで買い出しに行き、次の日から丸太風呂改修工事が始まりました。
旧丸太風呂解体風景
長年頑張ってきた丸太風呂とも今日でお別れ。チェーンソーを入れるときにはちょっと心苦しさを感じました。
ここまで頑張った御礼に、今冬の薪として最後までお役に立ってもらうことにしました。
中は腐って空洞状態になっていましたが、水を含んでいるので、思ったより遙かに重かったです。
それにしても形あるものを思いきり壊してしまう快感というのも、なかなかいいものですね。
丸太風呂をクレーンで釣って入れるために開けた屋根。この時、差し込む光、辺りの緑がとても気持ちよく、屋根が開いていればさぞ素晴らしい風呂になるだろうと思ったのが、開閉式屋根を作るきっかけとなりました。
丸太の加工風景
丸太をチェーンソーでくり貫いているところ。パワーのない安物のチェーンソーしか持ってなかったので、結構時間はかかりました。
これまでチェーンソーは、薪割りといす作りくらいしか使ったことがなかったので、少し切りすぎたところも出てしまいました。
とりあえずそこはコーキング剤で埋めて、ジスクグラインダで仕上げ、実質10日で丸太の切り込みが完成しました。
この段階で気を使ったのは、湯船の長さと背もたれの角度、そして腕休めの位置。足を伸ばしてゆったり湯船に体を沈められるように、何度も座り直し、微妙な出っ張りも細かく修正していきました。
最後に石炭ボイラー用の穴を開け、いよいよユニックでの搬入となったのですが、実はこれが僕がもっとも心配していたことでした。
ユニックが入れる場所から風呂場までの距離は約6m。くり貫いてあるとはいえ、丸太の重さはそれでも500〜600kgはある。クレーンをレンタルすれば話は早いが、費用がかかりすぎる。4トンユニックを持っている知人がいるので、出来ればそれを使って安くあげたい。ただユニックのアームが届くかどうかが気がかりでした。
知人はたぶん大丈夫だろうと言うので、実際やってみることにした。するとアームをフルに伸ばし、しかも水平に倒して、もう少しでトラックが倒れてしまう様な状態で、どうにかこうにか無事丸太風呂を小屋に納めることが出来ました。ちょっと冷や冷やしました。
ついに丸太風呂完成
最大の難関はクリアできたのですが、問題まだ終わりません。
せっかく作った風呂を長持ちさせるには、やはり防虫・防腐・防水の塗料を塗っておかなければなりません。ただ、ものが風呂だけに体に害のないものでないといけません。そこで、いろいろ調べた結果、檜風呂などの塗料として使われているワトコオイルがあることを知り、試しに塗ってみました。その後の効果ですが、1ヶ月に1度の上塗りをすると、完全防水とはいかないまでも、防腐に関しては特に問題なく、まずまずの効果が得られています。
あとは石炭ボイラーをジョイントで取り付け、約2週間で晴れて風呂部分の完成となりました。
開閉式屋根はこんな感じです
残るは屋根だけです。
どうしても露天気分を味わいたいとのこだわりから、いろんな屋根の形を考えました。そして作り安さ、屋根の開閉の容易さ、費用、雨漏りしないように、などを考慮した結果、写真のような形に落ち着きました。つまり、丸太風呂の上部だけがスライドするようにしたのです。
開閉する部分はコンパネを2枚半使っているので重さが25kgあり、閉める時に少しの力とコツがいりますが、結構丈夫でメンテの必要は今のところ全くないので、出来ばえには非常に満足しています。
お客さんの反応も抜群によく、開放感があり、周りの自然と調和できて、最高です。
やっぱり風呂は露天に限りますね!いや〜、作ってよかった。